過去にHP等に掲載された特集記事のアーカイブです
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What’s Gypsy Jazz ?
キーワードは、
マヌーシュ、マカフェリ、ラ・ポンプ、ジャンゴ。
ロマ(ジプシー)音楽とスウィングジャズを融合させたジプシージャズ。発祥国フランスでは「ジャズ・マヌーシュ」と呼ばれています。口にするだけで何だか楽しくなってくるような響きです。ちなみにマヌーシュとはフランス語でロマの意味。
「マカフェリ」とはギターの名前で、形も独特なこの楽器はジプシージャズの代名詞的存在です。
たいていの場合、ギターを中心に少人数で演奏されます。ドラムもピアノも無く、その役割をリズムギター奏者が担います。これがこの音楽の最大の特徴とも言えるでしょう。通称「ラ・ポンプ」と呼ばれる軽快なリズムです。
そして伝説のギタリスト「ジャンゴ・ラインハルト」についてですが、この話はちょっと長くなりますのでこのあとで詳しく。

*ジプシージャズの歴史豆知識*
けっこう意外な成り立ちのお話し…
1930 – 40年代にフランスで活躍したジプシー出身のギタリスト「ジャンゴ・ラインハルト」が、アメリカのスウィングジャズの影響を受けながら独自のスタイルを完成させます。そしてジャンゴの没後、彼の影響を受けたミュージシャン達の手によって様々な要素が加えられながら「ジプシージャズ」というジャンルが確立されていきました。マカフェリギターの使用もまたジャンゴの影響です。その独特な音色と相まってこの音楽の象徴となっています。
「ジプシージャズ」という言葉が定着し始めたのは1980年代末頃からとも言われています。しかし音楽ジャンルとして広く認知されるようになったのは2000年代に入ってからです。ネオ・トラッドと呼ばれる最近のトレンドの影響もありました。ジャンゴの時代から時を経て、そのフォロワー達が確立したジプシージャズ。古いようでいて、実は新しくもある音楽なのです。
*Let’s search on YouTube ♪*
観始めたら止まらない….
youtubeでジプシージャズ動画を検索すると、実にいろんなタイプのバンドが出てきます。
弦楽器中心の小規模編成が代表的ですが、一方で管楽器やアコーディオン、ボーカルなどを加えたバンドもあります。
音楽性も様々で、スウィングジャズの雰囲気を追求するもの、ジプシーテイストが強いもの、パリミュゼットの影響を受けたもの、あるいはボーカル曲をメインに演奏するもの等々…
いろいろありますが、こうした懐の広さもジプシージャズの魅力のひとつです。
「ジプシージャズ」と呼ばれるジャンルですが、当然ながらジプシー以外の演奏家もたくさんいます。今では日本を含め世界各地で演奏されるようになりました。
基本的には生音&少人数で成り立つ音楽です。街角でも、ホームパーティーでも、気分が乗ればパッと演奏できます。肩ひじ張らず、粋に気楽に楽しむのがジプシースタイル。
gypsy jazz、jazz manouche、などのワードで動画検索してみて下さい。Spotifyにもジプシージャズのプレイリストがたくさんありますので、こちらも要チェックです。
*伝説のギタリスト、ジャンゴ*
ジャンゴ・ラインハルト(1910~1953)
ロマの旅芸人一家に生まれたジャンゴは、家族と共にヨーロッパ各地を旅しながら楽器演奏を覚えました。
16歳の時にビリー・アーノルドのバンド演奏を聴いて以来、ジャズに傾倒。そして18歳の時、後のプレイスタイルを左右する大きな出来事が起こります。彼のキャラバンが火事に見舞われ、その際の火傷で左手の小指・薬指が動かなくなってしまったのです。しかしジャンゴは不屈の精神で努力を重ね、次第に独創的な奏法を身につけていきます。
1934年に弦楽器のみによる編成のバンド「フランス・ホットクラブ五重奏団」を結成します。5人のバンドメンバーのうちジプシー出身はジャンゴと弟のジョセフだけです。このバンドで共に活動していた盟友ステファン・グラッベリは後に、ジャズ・バイオリンの巨匠と呼ばれることになります。
当時のジャズは管楽器やピアノが主役の音楽でした。エレキギターがまだ登場しておらず、ギターの生音では音量不足でした。フランス・ホットクラブ五重奏団ではギターが立派な主役となりバイオリンと交互にソロをとっています。ドラムの無いユニークなバンド編成と、ダンスホールの喧騒に負けないジャンゴの力強いピッキングが「ギターソロ」の扉を開いたのです。
この初期の頃の演奏スタイルが、後のジプシージャズの基となっています。
ジャンゴ自身はその後、バンド編成を変えながら活動を続けます。当時の最新のアメリカ音楽を吸収しつつ独自の奏法を進化させていきました。
1953年に43歳の若さで急逝。その短い活動期間の中で、同時代の多くのミュージシャン達に影響を与えました。そして彼が残した音楽は今もなお、世代を超えて愛され続けています。
(※2024年 HP上に掲載されたコラム記事です)

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ジビエのたのしみ
「食」に関わる人を特集した今号の五月祭プレスS+M+L(※2019年発刊)。記事では鹿罠猟の話も出てきます。そこで今回はその話題にちなんだ企画として、普段から鹿肉を扱っていらっしゃるシェフお二人に、お話を伺ってきました。
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最初にお伺いしたのはギャラリー&カフェ あそび心。
「今、鹿肉が届きました!これからさばきますけど見に来ますか?」と、お誘いの電話が。
ちょうど取材の件をお願いしていたので、絶妙のタイミングです。
さっそく駆けつけ、お仕事を拝見させていただく事に。
慣れた手さばきで、大きな塊の鹿肉を次々と切り分けていくシェフの三島さん。
鹿肉を届けくれたのは、捕獲から解体処理、販売までを専門で行っている地元の猟師さん。たまたまお店のお客さんからその方を紹介してもらったのがきっかけで、鹿肉を扱うようになったのだとか。
豊かな森にめぐまれた伊豆半島ならではの出会いだったようです。
「鹿肉は食べ慣れていな人には敬遠されがちですが、牛や豚とはまた違った美味しさがあって、なおかつ栄養価も高くてヘルシーなんです」
どんな料理法が美味しいかという話題になると、隣でコーヒーを淹れていた三島さんのお母様も加わっての、熱い鹿肉談義へ。
鹿肉独特の柔らかな食感を味わうならソテーが良いという三島さん。
「これ食べてみて下さい」
ささっと調理してお出しいただいたひと皿に思わず舌鼓。
「本当は少し熟成させた方が美味しんですが、新鮮なのもまたいいでしょ」
獲れたて、さばきたてならではの味を堪能させていただきました。
自然の恵みとシェフに感謝!
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そして次にお伺いしたのがBISTROT quechampla(ビストロくさむら)。
くさむらのシェフ、田島さんには今号の五月祭プレスS+M+Lにもご登場いただいています。
開店前のお店にお邪魔すると、エスプレッソを淹れながらお話を聞かせてくれました。
田島さんはスペインのレストランでお仕事をされていた時に、鹿、キジ、鳩、ウサギなど様々なジビエを調理されていたそうです。
肉の部位や切り分け方の話から、話題はヨーロッパの家庭料理に…
「煮込みを作るときは3~4日かけてじっりと仕上げるんです。夜の間外に出して冷まして、また朝火にかけて…一気にたくさん作って一週間がかりで皆で楽しむ。冬のイベントみたいなものです」
調理にかける時間の感覚が、今の日本とちょっと違います。
またジビエ料理の魅力は、その動物がもつ独特の味のクセを楽しむところにもあるようです。
臭みやエグみも素材の個性であると。
「臭みを消すのでなく、ソースやスパイスやハーブを使って調和させるんです」
ただ単に食べやすさだけを求めるのでなく、大人の味わいを楽しんで欲しい、と田島さん。
言うなれば「少し背伸びをしてみよう」ということ。
いろんな事に通じてくるテーマでもあります。
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取材にご協力いただきました三島さん、田島さん、どうも有難うございました!
(2019年 HP上に掲載されたコラム記事です)

